絶滅危惧種ウチヤマセンニュウ 新たに県内6島で確認
環境省レッドリストや愛媛県レッドデータブックで絶滅危惧種とされ、2011年、松山市の小安居島(無人島)で県内で初めて繁殖が確認されたウグイスの仲間のウチヤマセンニュウが、県内の他の6無人島にも生息していることが日本野鳥の会愛媛の会員らの調査で明らかになり、4日までに日本野鳥の会論文集に発表した。全国的にも貴重な生息・繁殖地域といえ、これらの島での保護や調査継続、調査域の拡大が求められそうだ。
ウチヤマセンニュウは全長約17センチ。日本には島しょ部に夏、インドシナ半島や中国南部から繁殖のために渡ってくる。瀬戸内海では繁殖地が消失したとされていたが、野鳥の会愛媛が11年、小安居島で鳴き声により26羽のオスの生息を確認し、親鳥が幼鳥に餌を与えていたことから繁殖していることも分かった。
論文によると、野鳥の会愛媛、愛媛植物研究会、愛媛大沿岸環境科学研究センターのメンバーが12~15年、愛媛県今治市大西町沖から大洲市沖で、植生の点から生息可能性があり未調査の22島(うち広島県、山口県各1島)と小安居島でオスの鳴き声を調査。小安居島のオスの推定数は12年と13年が30羽、14年が20羽で、14年には古巣も見つかった。新たに生息が分かった6島は1~3羽だった。
調査に当たった野鳥の会愛媛の小川次郎副代表は、毎年相当数が見つかった小安居島を「ウチヤマセンニュウにとって魅力的な繁殖地」と説明。近くの6島で生息が確認できたことに「繁殖の可能性も高い。仮に小安居島の環境が急激に悪化したとき、逃げ場として近くに繁殖可能な島がいくつもあることは重要だ」と話している。